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防衛機制と幼児退行について、実例とともに解説

防衛機制と退行について、実例とともに解説
こんにちは。
福岡、北九州で精神科に特化している「セノーテ訪問看護ステーション」所長の入江です。

今回は「防衛機制」に関しての内容を、実例を紹介しながら解説します。

防衛機制とは

防衛機制とは
防衛機制とは、不安やストレスが生じた際、無意識的に自分を守るための心の動きです。

精神障害を抱える人、特に統合失調症の方にとって、自我機能の一つであるこの防衛機制が症状に左右され上手く機能しない状況が多いことが考えられます。

例として、以下のような事例があります。

【事例】統合失調症の方の防衛機制

【事例】統合失調症の方の防衛機制
今回のケースは、慢性の統合失調症であり、自閉的生活の中、病的退行が生じていることが伺われる方でした。
また、家族への対応の様子から万能感も併せ持っている事が推察される事例です。

さて、アナタはこのような防衛機制の状況の中で、どのようなケアが必要だと思いますか?

このようなケースでは、生育歴からアセスメントし、どのような発達を遂げてこられたのかを的確に把握。
退行が生じているのであれば、どの発達段階まで衰退してるのかを知ることが重要となります。

その上で「今をどのように考え、どうしたいか」という利用者ご本人の希望を尊重しながら、効果的なアプローチを実践していくことが大事です。

結論としてこのケースでは、代理自我的な関わりを重ね、活動性を向上させ、自閉的な生活からの脱却、ひいては成功体験につなげ自己効力感を向上させていくことを目指す支援を実施していくことが検討されました。

防衛機制の一つである幼児退行とは

防衛機制の一つである幼児退行とは
防衛機制はいくつかあります。ここでは、その中の「幼児退行」に関してお話したいと思います。

まず、人は葛藤や脅威といった体験をしたとき、不安や罪悪感、抑うつなど不快な感情体験をします。これを弱めたり、避けることによって心のバランスを保とうとする働きを「防衛機制」と言います。

幻覚や妄想、パニック症状や重度のうつ状態など精神的に危機状況に陥った場合、心のバランスを保つ働きである防衛機制が上手に機能しないことがあり、ストレスが大きすぎると周囲が理解し難い反応をみせる場面があります。

例を挙げると急に大きな声で怒鳴り、手が出る。赤ちゃん返りした話し方になる。閉じこもってひたすら眠る。
などです。一般的にはこれを「幼児退行」した状態と言います。

幼児退行は、過去の発達段階に戻ることにより欲求を満たすこと、乳児期、幼児期など、両親や兄弟に守られていた、また楽しかった頃に戻り心のエネルギーを回復するといった無意識的な反応です。
そのため、上述した赤ちゃん返りなど稚拙なふるまいが特徴的と言えます。

【事例】幼児退行が生じている利用者への看護

【事例】幼児退行が生じている利用者への看護
今回のケースは、壮年期男性、慢性の統合失調症であり、自閉的な生活の中、感情を言語化できず怒鳴り声や身振りといった非言語的コミュニケーションが目立ち、着衣も下着のみで着替えもできずに髭は伸び放題で生活を送られている状況です。著しい退行、すなわち病的退行が伺われる方でした。

看護としてはまず、安心感を得て頂く事、信頼関係の構築として常に目線を合わせ本人のペースを脅かさない関わりを継続しながら、「味方であること、力になりたいこと」を丁寧に伝えることから始めました。

閉じこもりの生活環境自体がこころのバランスを保つ力を弱めるため、訪問の度にカーテンを開け日の光を部屋に入れ時間の認識ができるよう働きかけ、着衣や髭剃りなど自分で行えない部分の手伝いをさせて頂きました。

焦らず慌てず対応することを心掛け、次第に自分でできることが増え、外に気を向けることができ、今では散歩を取り入れながら関わりを継続させて頂いています。

退行した状況下では、その方がどの発達段階まで退行しているかを判断し、その発達段階に応じた看護が必要と考えます。
目標を大きく設定せず、その方がまず、ほんの少しの努力から達成できる「ショートゴール」を立て、賞賛を重ねながら心の回復を目指すことが重要と考えます。

幼児退行に関する補足

幼児退行に関する補足
余談ではありますが、

「幼児退行」とは未熟な防衛機制と一般的に言われますが、普段生活していく中で、私たちも「幼児退行」を無意識に取り入れながら自分をコントロールしていると思います。

例えば、ディズニーランドやUSJで我を忘れて子供のようにはしゃぐことなど、幼児退行と言えるのではないでしょうか。

社会生活での積み重なるストレスから身を置き、リフレッシュすることでまた頑張るためのエネルギーを回復しています。
私たちは健全な退行をしながらコンディションを保ち、利用者に関わらせて頂くことが非常に大事なことと考えています。

さいごに

今回、主に学生の方になると思いますが、防衛機制や幼児退行について調べている方の参考になればと思い書きました。

私たち福岡にある精神科に特化した訪問看護「セノーテ訪問看護ステーション」は、利用者の方を支え、変わっていかれるその経過の中で喜びを得ることができる職場です。

求人も随時受け付けていますので、気軽に連絡してください。

セノーテ訪問看護ステーション
所長 入江 正光

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