福岡のセノーテ訪問看護ステーションの管理者、入江です。
今回の事例でのキーワードは「集団療法」です。
地域で自閉的に生活を送り、社会から隔離された状況から集団への参加を目指すことは容易ではありません。
例えば学童期でのいじめ体験が引き金となり人が信用できなくなった、
または学生時代は順風満帆だったが社会に出て、就労現場で上司等に叱責され自尊心を喪失した場合など。
結果として、うつ病など精神の病を発症し自閉的な生活を余儀なくされる背景が様々あります。
検討内容では、慢性的な自尊感情の低下、何事にも上手くいかない失敗体験などの苦悩を和らげながら少しずつ利用者の回復を待つこと。
焦らず、あきらめず利用者を支える家族への支援も並行して行いながら利用者本人に見合った集団の選定を行っていくこと。
そのためには、日々の関わりの中で看護者自らが利用者に対して穏やかに感情表現しながら、共感や傾聴、感情の反射といったコミュニケーション技能を丁寧に用いていくことを通し、利用者が観察学習していく。
その中で、利用者が新しい行動パターンを習得してもらえるよう支援を行っていくこと。
そして、スタッフ複数で訪問に伺うことやメンバーを入れ替えながら小規模からの集団適応からデイケアなど更なる資源の活用を目指していくこととなりました。
集団療法とは、通常10人前後の小集団を対象として、参加するメンバーの各々が自分を語ることを通じて実践される心理療法のひとつです。多くは同じ問題を抱えるひとたちや、同じような立場のひとたちを集めて行われる。(日本臨床心理士会より)
集団に受け入れられ、感情を共有し、新しい適応的な感情へと変化する気づき、他者の気持や行動を体験し悩んでいるのは自分一人ではないことに気づく普遍化、模倣などを通じての新たな適応的な行動の学習などがあります。
このようなことは、精神障害者を地域で支えていく方向で発展していくと考えます。
Fusion株式会社 セノーテ訪問看護ステーション
精神看護専門看護師
管理者 入江正光