福岡のセノーテ訪問看護ステーションの管理者入江です。
今回の事例カンファレンスでは、「服薬の自己管理」に関してテーマが挙がりました。
発症して、数十年が経過している慢性の統合失調症の利用者様は、日々の生活において服薬管理をしっかり行いながら調子を安定させることは重要なことだと思います。
しかし、本人が必要としていても副作用がなければ飲みやすいのに、飲まないといけないと理解していてもうっかり忘れることや症状に左右され飲めない、または飲み間違うといったケースも少なくありません。
以前、私が病院勤務していたころ、入院期間中であれば、医師、看護師をはじめ多職種連携のもと患者様の症状評価を密に行い薬物調整を行いながら、社会復帰に繋げる支援をしていました。
患者様一人一人に応じた薬剤の選定、薬の大切さを伝え、自分自身で服薬に関して積極的に取り組めるよう支援ができた背景には、人、物といった環境因子が充実していたため、私自身安心して患者様に接することができていた感覚があります。
地域・在宅では「アドヒアランス」、すなわち利用者様自身が服薬治療への主体的な参加をより向上し維持していけるよう支援することが必要です。
まず、その利用者様の症状や、おかれている状況を踏まえて、服薬を妨げる因子は何か、それを解決するためには何が必要かなど共に慎重に考える事が重要と考えます。
そして、利用者様自身が実行可能な服薬の自己管理を実現できるよう支援する事。
カンファレンスでは、Libermanの服薬自己管理モジュールを参考にしました。
解決策をいくつかあげる、解決策につき実行可能かを共に評価しメリット、デメリットを考える。
そして、どの解決策にするかを利用者様自身が選定し社会資源を考え実行していくプロセスを意識した関わりを実践していく運びとなりました。
結論として、一番重要な事は、繰り返しにはなりますが、利用者様自身が主体になり地域生活を有意義に送れるよう服薬管理ができることだと考えます。
医療者サイドが優先し、よかれと考え指示的に支援することは避けなければなりません。
そうでなければ、利用者様が服薬に対する不信感や偏見を煽り、結果として服薬を中断し、自己判断で加減するなどといった不適切なアドヒアランスに繋がることが考えられます。
今回のカンファレンスでは、焦らず利用者様の考え、ペースに沿って関わっていくことが大切であることの再認識ができました。
Fusion株式会社 セノーテ訪問看護ステーション
精神看護専門看護師
管理者 入江正光